最後の約束

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 鈍色の雲に覆い隠された朝。

 集った隊士を確かめるように、目の前の隊長は、顔だけで振り返った。視線が一人一人の上をさまよい、何も言うことはなく再び鶴峰山を向く。ここで戦うと決めた者に、もう言葉など必要なかった。強い想いの先にそんなものはくだらない。どれほどの想いと覚悟でここにいるかをきっと誰も彼もが知っている。もう、刀を抜くだけでいいのだ。それがここでできる唯一で。それが、全てだ。

 

 

 沢山の言葉の先に、

 沢山の思いの先に、

 

 いつでも一人の男がいる。

 

 

 それをずっと見てきた。

 

 

 今はまだ手を伸ばせば触れられる隊長の背中が鶴峰山へ向かって歩いていく。

 それを決して見失うまいと、日番谷は抜刀する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霧雨の降り始める、朝のことだった。